アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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隈 研吾 - 小さな建築
安養寺木造阿弥陀如来坐像収蔵施設
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2012 東西アスファルト事業協同組合講演会

小さな建築

隈 研吾KENGO KUMA


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安養寺木造阿弥陀如来坐像収蔵施設
豊浦の土歳
豊浦の土歳。日干しレンガを積んでつくられている。

次は、「安養寺木造阿弥陀如来坐像収蔵施設(2004年)」です。私たちはアドベ・ミュージアム(Adobe museum)とも呼んでいます。「アドベ」というのは日干しレンガのことです。敷地は、山口県の下関市豊浦で、ここを訪れた際に、私はなんとも不思議な蔵を見つけました。一見、普通の土の蔵のように見えます。しかし、これは内部へ入って初めて分かるのですが、壁が土の塊でつくられた蔵なのです。一般的に、日本で土を壁に使用する時は、木のフレームに小舞と呼ばれる下地を貼り、その上に2〜3センチほどの厚さで土を塗ります。しかし、この街でつくられている土の蔵は、簡単に言うと自分の家の庭の土を干して固めた土の塊だけを積み上げて、建物をつくっているのです。大工に頼まずに自分でつくってしまった人もいた、 という話も聞いています。とてもおもしろい街ですよね。土だったら敷地の地面材料で、タダと言えばタダですから建設費も抑えられる。

そして、この土の塊をヒントに、現代の方法に変換し、久住章(くすみ)さんという左官屋さんにお願いし、敷地の土を使って収蔵施設をつくりました。ただ、 積み上げていっても土の塊では地震に対抗できませんから、残念ながらコンクリートのメインフレームの外に、金物で引っ掛けながら土のブロックを積んでいます。中には、重要文化財の仏像が入っています。

「安養寺木造阿弥陀如来坐像収蔵施設」南側外観
「安養寺木造阿弥陀如来坐像収蔵施設」南側外観。

土のブロックをそのまま使うと、べたっとしてしまい、コンクリートの建物のようになってしまいますから、土のプロックの積み方も工夫し隙間を空けて、プロックの小ささが分かるように積みました。コンクリートはある意味で大きさの象徴です。コンクリートは、繋がって一体となります。繋げて一体化し、大きくすることで強くしようというのがコンクリートの考え方で、それを壊すのが私たちのやり方です。


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