アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
「梼原・木橋ミュージアム(2010年)」では、先ほどの「CGブロソミュージアム・リサーチセンター」よりは、ひとつひとつの部材は大きいですが、小さな木で大きな橋をつくるという考え方は同じです。先ほどお話したように、小さな部材を使用して、大きな全体をつくるというのは、昔から日本人が選択してきた方法です。サステナピリティという点でも資源保護という点においても、小径木を用いるのは非常に賢い方法です。
この梼原という街では、旅人にお茶をふるまうための茅葺きの「茶堂」という休憩施設が、今でも数棟残っています。そこから着想を得て、茅葺きで「まちの駅『ゆすはら』(2010年)」という三階建てのホテルをつくりました。茅でつくったブロックの真ん中に軸が入っており、茅の塊ひとつひとつが回転するようにつくられています。三階建てのホテルは「特殊建築物」という建築の分類になります。三階建ての特殊建築物は、外壁には不燃材を使わなければなりません。この茅はどう見ても不燃材ではありませんよね。ですから、回転できる機構とし、これは壁ではなく関口部であることとしました。関口部であれば、木製サッシのように、不燃ではない材料を使うことができます。そうやって、建築基準法をクリアして完成した建物です。回転させるためのディテールを考えて、自ずとひとつひとつの単位が小さくなっていったのです。結果、私の考えている小さな建築により近くなったと思います。